第107回 北京ダッグ
食べ物・飲み物
北京ダックを初めて食べたのは、多分1989年に短期留学していた北京市内は和平門にある「全聚徳」だったと思います。
母校の恩師ご一行が北京にお越しになった際、北京留学組の私たちにも声を掛けて下さったのでした。

北京ダックは、窯でパリパリに焼いたアヒルの皮を削ぎ切りにし、小麦粉を薄く伸ばして焼いた薄餅(バオピン)で甜麺醤、ネギ、キュウリなどと共に包んで食べる高級料理。私が大好きな中国料理の一つです。
その頃は、北京ダックの名を聞いたことはあっても食べたことはない日本人がまだ多かったと思います。恩師の宴の末席に加えて頂くまでは私も同類だった訳ですが、学生の身分でこの贅沢な料理の味を覚えてしまいました。
日本にも支店がある「全聚徳」は、創業の物語が映画化もされた有名店です。本店は和平門から地下鉄で一つ隣の駅の前門にあります。北京大学に長期留学していた90年代初頭には北京大学の近くにも支店があり、日本で食べるよりもずっと安い!と人数を集めては来店の機会を作っていました。

日本では、高級店でもダック一羽とか半羽分どころか、一巻き(薄餅にダックの皮一切れにキュウリとネギがちょっと)だけ皿に載せて一人前の料金を取るような料理でしたから、本場とは味もボリュームも異なります。
薄餅で包むのはダックの皮だけでなく、肉も一緒に堪能するのが一般的。余った肉で作る前菜、炒め物のサイドオーダーもあり、最後は鴨湯(ヤータン・頭や翼の部分や骨でダシを取ったスープ)で〆るのが本場流。肉から骨まで使い倒します。
どちらが本当なのか、好みにもよるのでしょうが、中国で供される北京ダックは、皮にダックの肉も付けている一方、日本では皮の部分を薄く削いで、限りなく肉は少なく。なるべく皮だけでパリパリ感を楽しむ食べ方が主流なようです。しかし、今もそのような高級扱いが存続する一方、近年では中華街まで出かけなくても、リーズナブルに提供する専門店が表れ、北京ダック好きとしては嬉しい状況です。
始めて口にした当時「美味しい!」と思ったところで、それが何だか分からなかった甜麺醤も、今や「テンメンジャン」として日本全般に広く知られ、容易く入手できる中華調味料となりました。

しかし「北京ダック」と称してはいますが、元々は明代に南京から北京へ遷都した際、同時に南方の食文化が北京の宮廷にも伝えられ、材料であるアヒルも南京から北京に連れてこられたと云われています。だから本来は南京ダック?
北京で消費されているアヒルは、現在は北京市郊外や河北省を中心に飼育されているようです。因みに、早く出荷するためと、より大きく、より多くの脂肪を蓄えた状態に育つよう、強制的に餌や飼料をパイプで胃に流し込んで飼育されたアヒルは「填鴨」(ティエンヤー)と呼ばれます。
「詰め込み式教育」のことを、中国では「填鴨式教育」と云います。なかなか含蓄のある語です。どんな食用動物もそうですが、計画飼育されたものより、自然に育ったもののほうが出来が良いというか、体質も強く、美味しいとされています。
人間も同じかしら?
母校の恩師ご一行が北京にお越しになった際、北京留学組の私たちにも声を掛けて下さったのでした。

北京ダックは、窯でパリパリに焼いたアヒルの皮を削ぎ切りにし、小麦粉を薄く伸ばして焼いた薄餅(バオピン)で甜麺醤、ネギ、キュウリなどと共に包んで食べる高級料理。私が大好きな中国料理の一つです。
その頃は、北京ダックの名を聞いたことはあっても食べたことはない日本人がまだ多かったと思います。恩師の宴の末席に加えて頂くまでは私も同類だった訳ですが、学生の身分でこの贅沢な料理の味を覚えてしまいました。
日本にも支店がある「全聚徳」は、創業の物語が映画化もされた有名店です。本店は和平門から地下鉄で一つ隣の駅の前門にあります。北京大学に長期留学していた90年代初頭には北京大学の近くにも支店があり、日本で食べるよりもずっと安い!と人数を集めては来店の機会を作っていました。

日本では、高級店でもダック一羽とか半羽分どころか、一巻き(薄餅にダックの皮一切れにキュウリとネギがちょっと)だけ皿に載せて一人前の料金を取るような料理でしたから、本場とは味もボリュームも異なります。
薄餅で包むのはダックの皮だけでなく、肉も一緒に堪能するのが一般的。余った肉で作る前菜、炒め物のサイドオーダーもあり、最後は鴨湯(ヤータン・頭や翼の部分や骨でダシを取ったスープ)で〆るのが本場流。肉から骨まで使い倒します。
どちらが本当なのか、好みにもよるのでしょうが、中国で供される北京ダックは、皮にダックの肉も付けている一方、日本では皮の部分を薄く削いで、限りなく肉は少なく。なるべく皮だけでパリパリ感を楽しむ食べ方が主流なようです。しかし、今もそのような高級扱いが存続する一方、近年では中華街まで出かけなくても、リーズナブルに提供する専門店が表れ、北京ダック好きとしては嬉しい状況です。
始めて口にした当時「美味しい!」と思ったところで、それが何だか分からなかった甜麺醤も、今や「テンメンジャン」として日本全般に広く知られ、容易く入手できる中華調味料となりました。

しかし「北京ダック」と称してはいますが、元々は明代に南京から北京へ遷都した際、同時に南方の食文化が北京の宮廷にも伝えられ、材料であるアヒルも南京から北京に連れてこられたと云われています。だから本来は南京ダック?
北京で消費されているアヒルは、現在は北京市郊外や河北省を中心に飼育されているようです。因みに、早く出荷するためと、より大きく、より多くの脂肪を蓄えた状態に育つよう、強制的に餌や飼料をパイプで胃に流し込んで飼育されたアヒルは「填鴨」(ティエンヤー)と呼ばれます。
「詰め込み式教育」のことを、中国では「填鴨式教育」と云います。なかなか含蓄のある語です。どんな食用動物もそうですが、計画飼育されたものより、自然に育ったもののほうが出来が良いというか、体質も強く、美味しいとされています。
人間も同じかしら?
スポンサーサイト